批評の芸術係数

批評というより感想録です。

"奇跡の2000マイル"(2013) -映画短評-

 

2013年、ジョン・カラン監督作品

2018年2月25日、dvdレンタルで鑑賞

初見。

 

 壮大な自分探し映画。

 

 自分探しって高校生くらいの時忌み嫌ってた概念なんだけど、一人で海外にいくと強制的に自分や自分に内面化された社会と向き合わされたりして、結果的に「自分」が見つかった、という経験をして、今はむしろ肯定派。まあ僕の場合は「結果的に」というのがキモだった気がしますが。

 

 しかしこの映画は微妙。確かに主人公ロビン役ミア・ワシコウスカの演技もあって極端に退屈するようなシーンもなかったし、アボリジニや子供との交流はほほえましいし、後半のハプニングは緊張感があった。自分探しものとしても、一人になることで、自分には他者との繋がりがどんなものでどれくらい必要か、を意識することができた、というので悪くない。なによりも旅を完遂したときの景色が美しい。

 でも明確な主張が芯にあるというわけでもなく、かといって環境映像にするにはやかましい。青春映画としての爽快感みたいなのにも乏しくて、帯に短し襷に長しという感じ。まあ実話だからといわれるとそうですかって返すしかないんだけど。

 あとお前らヤるの早すぎ流され過ぎ。一人旅に、おそらく周囲と馴染めなくてそこから逃げたいんだろうな、という目的が割りと明確に伝わってくるし、いわゆる大自然に憧れて~みたいなのとも一線を画してるので、これはこれでありかなと思っていたのだけれど、このシーン辺りでアレ?ってなったよ。

 ロビンの家庭環境周りのシーンに物語的な意味を見出だせなかったのもマイナス。実話ベースの話って、これは実話だから、ですべてのシーンに理由付けが出来てしまって、物語性に関する思考にブレーキがかかってしまう。これは僕の問題だけれど。

 なんでdvdスルーで、評価もそんなに高くないこの映画を借りたかというと、SW8みてアダム・ドライバーにドはまりしたからなんだけど、彼もそんなに見せ場なかったね。

 

 総評としてはイマイチ。ダメって映画ではないけれども、おすすめはしない。